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  • 作品紹介"An another tale of Z"

  • 投稿者:利通
  • 投稿日:2010年 9月25日(土)16時54分2秒
 
1.作品の概要

 長野県岡谷市在住の小林昭人(ペンネーム)によって2005年1月からウェブ上に公開された[機動戦士Zガンダム]をモチーフにした創作[小説]。話数は放映作品とほぼ同じ全53話。連載期間は2005年1月から同年8月までの7ヶ月間。当時のタイトルは「青い空と白い雲」。

 ガンダムの小説であるが、タイトルにガンダムの名を冠しておらず、また、随所にモチーフとなった「Zガンダム」の設定を採用しているものの、多数のオリジナルキャラクターが登場し、ストーリーの内容が大きく異なっていることが、「ガンダムエース」等に連載されている他の類似のサイドノベル、マンガと全く異なる点である。従って、著作権法上は[二次創作]ではなく完全に別個の著作物であり、創作に原著作者の許可を要しないカテゴリーの作品である。小林自身はこの作品を1979年に放映された日本サンライズのアニメ作品「機動戦士ガンダム」の私家版続編と位置づけている。

 後に”Gundam”の語を除き作品のメインタイトルとなった”An another tale of Z Gundam”(当時の副題)は、小林によると、あえて”story”ではなく”tale”としたのは、既にある続編を横に置いた、「もう一つの小咄」という意味であり、作品の「可能性」を提示したものである。また、キャッチコピーである、”Mobilesuit Gundam Magnificent Theaters”(作品のコピー)は、「原作をはるかに凌ぐ壮大な舞台」という意味が込められており、作品の解釈の限界を極めたものという意味である。この二つのフレーズを暫時用いることで、小林はこの物語を既に行き詰まったガンダムシリーズに対する往年のファンの回答、「可能性の物語」であると定義づけている。

 2010年2月からはウェブでの公開を停止し、タイトルを”An another tale of Z”と改め、[エッセイスト]の飛田カオルの解説文を巻末に置きつつ、全12巻の構想で[電子書籍]として一般販売を開始している。


2.他のガンダム諸作品への影響

 本作品はウェブのみの公開であったが、全53話(平均1万5千~8千字)とテレビ作品を意識した重厚で本格的な構成を持ち、総文字数は現時点でガンダム作品最長の「機動戦士ガンダムUC」をも上回っている。また、公開時期が「機動戦士ガンダムSEED・Destiny」と同時期であったこと、また、後に「機動戦士ガンダム00」、「機動戦士ガンダムUC」といった作品が作られたことから、これらの作品には本作と類似した描写が見られる。


2-1:機動戦士ガンダムSEED・Destiny

 PHASE-14 「明日への出航」でストライクフリーダムガンダムが超音速飛行をしていると思われる場面(衝撃波で管制塔のガラスを破砕など)があるが、モビルスーツを超音速飛行させたのは本作29話「クロスボーン強襲」の方が早く公開されている。また、同作制作時後半のスタッフ談話で福田己津央監督が「戦艦の格闘戦などできるわけがない」とコメントしているが、本作49話「決闘」ではまさにその戦艦同士の一騎打ちと超高速でのバトルが行われている。また、PHASE-48 「新世界へ」で主人公シン・アスカとルナマリア・ホークが抱き合って無重力下で浮遊するシーンはほぼ同じ場面がやはり49話で描かれている。また、同作品の派生作品である「機動戦士ガンダムシードVSアストレイ」に登場する悪のキャラクター「ライブラリアン」は全く同名の職業が本作7話「自由コロニー同盟」に登場している。


2-2:機動戦士ガンダム00

 作品の世界観である「ユニオン」、「AEU」、「人類革新連盟」という三大国がゼロ・サムゲームを戦うというプロットは「連邦」、「ジオン」、「自由コロニー同盟」の三大国が覇権を競うという本作のプロットに酷似している。また、「ユニオン」という国家は本作第24話に登場し、00のユニオン同様フランスをモチーフにした国家である。が、本作の方が二年先行している。また同作11話「アレルヤ」における管制室より高度な演算能力を持つモビルスーツのハッキングによるコロニー扉開錠のプロットは本作29話(クロスボーン)とほとんど同一である。また、王家の人間を「皇女」と呼ぶなど、本作と類似した用語法がこの作品でも見られる。


2-3:機動戦士ガンダムUC

 第一巻の人工太陽に墜落した王女ミネバ・ザビを救出するバナージ・リンクスの場面はやはり木星に墜落したジオンの王女ハマーンを救出する本作1話と類似している。また、同作5巻に登場するモビルアーマー「シャンブロ」の怪獣戦争のような縦横無尽ぶりは本作40話「グリプス事件」の巨大モビルアーマー「サイコG」の場面と類似している場面である。また、UCの作者福井晴敏による「可能性の物語」というフレーズは本作作者小林の方が先行しており、また、高年齢層の評価に耐えうる作品作りというコンセプトも本作と一致するものである。ただし、小林の作品は基本は15歳中学生を読者に想定しており、その上でより高年齢の読者の閲読に耐えうることを目標としているが、福井の作品は当初から高年齢アダルト層をターゲットと、両者の作品のスタンスは一部類似する点はあるものの、全く異なるものである。なお、本作はUC(2006年12月)の連載開始より1年4ヶ月早く完成していたものであり、福井氏にはウェブ最高の作品である本作を検討する十二分な時間的余裕が与えられている。

 このように、本作には同時期とその後に制作されたガンダム諸作品に類似する点が多々見られるため、後行する上記の作品のスタッフが情報収集の一環として本作の影響(剽窃?)を受けたことは想像に難くない。

http://www.geocities.jp/kakito7000/index.html



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